うつ病でできない運動療法だけど、効果アリおすすめは家事掃除!

運動がうつ病治療に効果的であることを証明した論文がいくつもあります。

もちろん運動はうつ病だけでなく、様々な病気の予防や治療に効果があるのは疑いのない事実でしょう。

しかしうつ病治療における運動療法についてリサーチすると、運動によって鬱が悪化し、運動しないことを選択したという意見を見かけます。

うつ病といっても症状は人様々なので、一概に運動がうつ病患者全てに効くとは断言しません。確かに運動を習慣付けるのは、難しいことです。しかしこうした声をよく聞くと、かなり間違って運動療法を行っているケースが多いのも事実です。

今回はうつ病治療に効果的な、おすすめの運動について、そして運動の始め方、モチベーション維持にはどうしたらいいのか、考えてみましょう。

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▐| 運動がうつ病治療に効果的な理由は?

運動が糖尿病などの身体的疾病予防や症状改善に効果があることは、容易に想像がつきますが、うつ病の症状を改善するとは、理解できそうで、でも意外なような気もします。

しかし運動はうつ病に関して様々な利点があるのは、多くの研究論文で証明されています。

運動すると、私たちの体の中では次のようなことが起こります。

  • エンドルフィンや内在性カンナビノイド、神経伝達物質など、体を落ち着かせてリラックスさせたり、気分を良くする脳内物質が分泌される
  • 鬱を悪化させる免疫システムの物質が減少する
  • 体温が上がる
  • アドレナリンのようなストレス物質を減少させるので、ストレスが軽減する

その結果、私たちの体にどのような変化が現れるのか、また生活がどのように変化しうるのかというと、

  • 自尊心が高まり、自信がつく
    運動することで体が引き締まったり、体重が減ったりすれば、自分自身に自信がつきます。また目標とした運動内容をこなせば達成感を得られるので、それが自信につながります。
  • 心配事、非観的な考えなどを引き起こす、マイナス思考の悪循環を断ち切る
  • 睡眠の質を上げる
  • 認識機能を改善する
  • 一時的ではない、本当の健康状態の改善方法
    不安や心配事を紛らわすためにお酒や薬物を使用しても、それは一時的なものです。運動は根本的に健康状態を改善してくれる方法です。

確かにお酒を大量に飲んで、嫌なことを一時的に忘れることができても、翌日は二日酔いで頭が痛かったり、酔いが覚めればまた嫌なことを思い出して、気分が落ち込むだけです。お酒を飲んだところで、嫌なことは解決できていないわけですから。しかし運動すると、嫌なことはそのままだとしても、違った角度で物事が考えられるようになったりして、その嫌なことは実はそんなに嫌なことではなく、何とかなることだと気づいたり。自分ではどうしようもないことだと思って落ち込んでいた気持ちも、どうしようもないなら割り切っていこうと、気持ちを切り替えたり。お酒で気分を紛らわしていては、そういう発想は浮かんできませんよね。

また運動して引き締まった体を見ると、自分自身に自信がつきます。また体重計に乗り数字が下がっていたりすると、これまた自分に自信が持てるようになります。一度でもダイエットしたことがある人なら、お分かりいただけるでしょう。

運動して体が疲れれば、睡眠の質が上がります。疲れて夜眠れる。バタンキューとまではいかなくても、眠れないで悶々と過ごす夜よりは、眠ることができるでしょう。

鬱で悩む60代の男性は、夜眠れないと話していました。夜中の2時や3時に横になって、虚ろ虚ろしながら5時には完全に目が覚め、そのまま眠れないという生活。つまり1日2時間か3時間、眠っているのか眠っていないのかの状態。しかしある日、家のペンキ塗りを一日中してくたくたに疲れ、その夜は10時から朝までぐっすりだったそうです。翌日その男性に会ったとき、いつもより表情が明るかったので、何かあったのかと尋ねると、やはり夜よく眠れたことと、家のペンキ塗りをやり遂げたという達成感で気分が良かったことが理由だったようです。

興味深かったのは、ペンキ塗りをしたその日の夜、「眠れるかどうか」とか「眠れなかったらどうしよう」という発想は頭には全く無かったそうです。疲れてそんなこと考えられない。むしろ、眠れる眠れないはどうでもよく、とにかくベッドで横になりたい、それだけだったそうです。

さらにもう一つ特筆すべき点は、運動することで、学習したり記憶したりするとき重要な役割を果たす、脳の海馬という部分が衰えるのを防ぐ効果があるということです。物忘れはうつ病の症状の一つです。運動することで、この症状の改善につながります。

このように運動がうつ病治療に効果的なのは、強調してもし過ぎることはないでしょう。

▐ 再発防止にもなる!運動療法がおすすめの理由

うつ状態改善のために、またはうつ病治療の一つとして、運動を勧められた方は多いと思います。運動療法がおすすめなのは、上記にあげた効果があることはもちろん、何といっても、

  • すぐ利点や効果が現れる
  • 効果は長期的である
  • 再発を予防する

例えば今日は15分近所を散歩しようと決めたら、それを達成すれば達成感を得ることができます。決めたことを実行し、達成させたことで自信が出ます。そして歩けば疲れます。普段全く運動しない人であれば、15分歩いただけでも結構な疲れで、それは心地よい疲れです。歩いたことで私たちの体内で様々な良いことが起こり、気分も良くなります。歩いたことで得られる利点は、少なくともその日と夜まで継続します。

また運動をすることで、うつ病の再発防止にもなるという嬉しいニュースがあります。うつ病治療だけでなく、うつ状態を再び引き起こさないようにする予防効果もあるということで、この傾向はより活発に体を動かす人に見られたそうです。

すぐ効果が現れ、それは継続し、しかも予防までしてくれる。これらは運動療法の一番の利点であり、おすすめする理由です。

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▐| どんな運動がいいの?

運動療法がうつ病治療にいいらしいということで、運動を始めようとするとき大事なことは、

どんな運動が自分に適しているのか

を知ることです。

個人の興味、鬱の状態、身体的な問題、生活環境など考慮する必要があるからです。一度担当医とどんな運動が自分にいいのか、そしてどれくらいの運動量が適しているのか、話し合ってみることをお薦めします。

うつ病改善に運動がいいと、いきなり自己流で始めると、長続きしなかったり上手くいかなくて、それが原因で余計気分が落ち込んでしまったら、運動療法の意味がありません。で、運動療法は効かない、自分には合っていない、運動なんて意味が無い、運動なんてしない、と結論付けてしまう人もいます。

これは本当に残念なことです。

そこでまず運動療法の「運動」とは、どういうことなのかということからご説明します。

  • スポーツのような運動
  • 日常生活の中で、体を動かすことをする

▐ スポーツのような運動

運動というと、まず、ウォーキングとか、ジョギングとか、筋トレとか、水泳とか、体を思いっきり動かすスポーツを思い浮かべますよね。

またバスケットやテニスなどの球技はもちろん、筋トレなども、スポーツ系の運動になります。

▐ 日常生活の中で、体を動かす

元々運動をする習慣がない人がうつ病になったからといって、それを改善するために運動を始めるのは、かなりハードルが高いように見えます。

しかし何もうつ病治療の為に、激しい運動をする必要はありません。日常生活の中で体を使うことをするだけでも、効果はあります。

例えば掃除。

掃除機を使って部屋を掃除するだけでも、結構な運動量です。トイレ掃除、お風呂掃除、さらには庭の草取りや枝切り、玄関を掃いたり、窓を拭いたり。

他にも家事労働。

洗濯物を外に干したり、茶碗や皿を洗ったり。庭の草木に水をやったり。

そういった体を使った労働といいますか、こういうことも運動になります。

少しでも動くようにと、家にあるリモコンを隠している人を知っています。テレビのチャンネルを変えるとき、エアコンの温度を下げるとき、部屋の電気を点けるときなど、リモコン無しの生活は、結構マメに動く必要がでてきて、その度にちょっとした運動になります。

これらの運動を一日30分、週に3~5日すると、鬱の症状をかなり改善させることができます。

もし一日30分 x 週に3~5日はハードルが高いなら、一日10〜15分でもいいので運動すれば、それなりに効果はあります。

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▐| 始め方とモチベーションを保つ方法

運動がうつ病治療にいい、健康にいいということで、始める人は結構多いと思います。しかし実際に始めても、その次に難しいのは続けることです。

運動を続けるため、どのようにモチベーションを保てばいいのでしょうか。まずはきちんとした方法で始めることをおすすめします。

■ 医師に相談し、アドバイスをもらう

うつ状態がひどく寝込みがちで体力が弱っていたり、他にも身体的な問題がある場合は、まずは医師に相談することから始めましょう。現在の体力、身体的状態、鬱状態などをチェックしてもらい、どんな運動、どれくらいの運動量が適しているのか、また自分の興味のある運動なども含めて話し合い、アドバイスをもらいましょう。できれば医師と一緒に具体的な運動プランを立てるとよいでしょう。

■ 自分が楽しめる運動であること
スポーツ系の運動でも、家事労働でも、とにかく自分が楽しめて、苦にならないものを選びます。決して義務感から運動をすることにならないように気をつけましょう。

「嫌だけど、うつ病のために運動する」

そういう心理状態にならないような運動を選ぶことが大切です。

■ サポートを得る

家族や友人、信頼できる医師、サポートグループなど、理解あるサポートを得ることです。例えば、サポートグループのプログラムの一環で、エクササイズのクラスがあれば、お互いに支え合いながら運動できます。子供と一緒に近所を自転車で回ったり、今はネットのサポートグループが盛んで、お互いの運動成果をネットで報告し合ったり、その日の状況をチェックし合ったりできます。

一人で運動するより、誰かと一緒(ネット上の誰かでも)の方が、長続きするものです。

■ 無理のない目標を立てる

運動をするときに目標を立てるのは、モチベーション維持に有効です。しかしあまりにも実現不可能な目標や、ハードルの高いゴールを設定すると、モチベーションが下がります。

ある程度大きな目標を立て、それを達成するために小さな目標を立てると、日々やることが明確になり、取り組みやすくなります。

最初は少しの運動量でも、少しずつ増やしていけばいいのです。その増やすスピードも、ゆっくりで、無理の無い範囲で。

例えば大きな目標は、秋に行われる子供の運動会へお弁当を作って見に行くこと。

それを達成するために、まずはお風呂掃除から始めて、週に2度掃除機をかける、近所のコンビニへ牛乳を買いに行く、少し歩いた所にあるスーパーへ、お肉の特売日に買い物へ行く。

医学書のガイドラインに沿った運動療法でなくても、自分にとって現実的で明確で、かつ楽しみながらできる運動を始めることです。

■ 何が障害なのか明らかにする

運動はうつ病治療に有効だと頭では分かっていても、運動をしない人は全くしません。しかし少しでも運動療法を試してみようかという気持ちが、一ミリでも沸いたとき、何が障害なのかじっくり分析してみることです。

例えば、うつ状態がひどくて運動どころではない、運動療法はある程度鬱の症状が良くなった人向けだ、という人がいます。話をよく聞くと、このように言う人は、運動とはいわゆるスポーツ系の運動のことだけだと思っていました。既にご説明しましたように、家事や掃除でもいいのです。テレビのチャンネルをリモコンを使わずに変えるようにしたり、リモコンを離れた所に置いたりすれば、塵も積もって何とやらです。

暑い中、寒い中、外を歩くのは苦手だという人がいました。では冷暖房が効いたデパート内を階段を使いながら各階を歩いたら?と思いましたが、話をよく聞くと、気温や気候が本当の障害ではなく、運動しても効果を感じないので、意味がないと思っていたことが判明。ただでさえ嫌いな運動なのに、効果を実感できないんじゃ、やる気にならないのは当たり前です。まず運動についてしっかり理解してもらう他に、運動すると良いことが起こるという実体験が必要になります。

また同じような理由をつけて、運動をしない人がいました。汗だくになるのは好きじゃないとか、そんな理由。しかし実際は、外を歩くと人の目が気になり、もしかして散歩している自分を、近所の人は笑っているんじゃないかと。そういう人なら、自宅でできるDVDエクササイズや、筋トレなどがぴったり。また庭掃除ならかなりの重労働で、いい運動になります。近所の目を気にしなくて済みますしね。

うつ病の人に限らず、運動しない人に運動をしない理由を尋くと、実に様々な理由が飛び出します。しかしそれらの”理由”は表向きのもので、本当の気持ちはその裏に隠れていることが多いのです。

またこれらの心理的障害だけでなく、もっと物理的な障害も考慮します。

近所をウォーキングするなら、雨や雪の日はどうするか。近所の公民館で行われる週2のヨガに参加するなら、講師の都合で休みになったり、大型連休で休みの週はどうするか。こういうときのために、バックアッププランを立てておくとよいでしょう。例えば天気が悪い日は、ショッピングセンターをぶらぶらするとか。

■ 柔軟に

運動は長期に渡って続けることが大事ですが、どうしても計画通りに行かないこともあるでしょう。バックアッププランすら、上手く機能しないこともあるかもしれません。一日運動できなかったからといって、そのまま止めてしまうのではなく、次の日またすればいいのです。朝30分のウォーキングをしようと思ったのに15分しかできなかったら、昼5分、夕方10分歩けばいいのです。また一日30分が難しいようであれば、20分でもいいので、長期的に続けることを優先的に考えます。

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▐| つぶやき

うつ病に関するフォーラムやブログで、鬱がひどくて運動なんかできるわけない、簡単に運動しろって言うな、というコメントを見ました。

その方も、以前うつ病治療になるならとジョギングを始めたそうですが、鬱の症状は改善するどころが、悪化する一方だったそうです。治療のためジョギングしなきゃという義務感から、元々嫌いだった運動を無理してやっていたようです。その様子を見た親が、もう止めろと止めたため、無理をするのは止め、つまりジョギングを止めたとか。で、運動は自分には向かない、運動療法が効くのは運動ができるほど鬱の症状が既に改善した人だと結論付けていました。

読んでいて胸が痛くなりましたが、やはり運動を始める前は、きちんと医師のアドバイスを受けることが大切だと思いました。この方は自己流で始め、一人で運動していたようです。元々運動が嫌いで運動する習慣が無く、うつ病で寝込みがちで体力が落ちているところに、いきなりジョギングを始めては、体にものすごい負担をかけています。義務感のみで運動をしていても楽しくないでしょうし、楽しくなければ続けることなんて無理です。

ですから自己流で、自分一人で運動をしようとせずに、担当医や専門家のアドバイスと、家族や友達など周りのサポートを受けながら、現実的で無理のない運動療法を進めていくことが、この治療法の成功のカギだと思いました。

以上、うつ病でできない運動療法だけど、おすすめは家事掃除!その効果についてでした。

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References

Dugan, Sheilaa. Bromberger, Joycet. Segawa, Eisuke, Avery, Elizabeth. Sternfeld, Barbara. (2015). Association between Physical Activity and Depressive Symptoms: Midlife Women in SWAN. Medicine & Science in Sports & Exercise. Volume 15. Issue 2. pp335-342.

MayoClinic. (2014, October 10). Depression and anxiety: Exercise eases symptoms. Retrieved from
http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/depression/in-depth/depression-and-exercise/art-20046495

Trivedi M. H., Greer T. L., Grannemann B. D., Chambliss H. O., Jordan A. N. (2006). Exercise as an augmentation strategy for treatment of major depression. J. Psychiatr. Pract. Volume 12. Issue 4. pp205–213.

University of Michigan Depression Center. (n.d.). Exercise. Retrieved from http://www.depressiontoolkit.org/takecare/Exercise.asp

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